当然の事ながら全盛期のリザードを観る事は出来なかった。中学生のとき図書館で借りた本に東京ロッカーズの事が書いてあっても、どんな音を出すバンドなのか皆目見当がつかなかった。シンセを入れたパンクバンドといって想像したのは、このアルバムをプロデュースしたJ.J.バーネルがいるストラングラーズだった。
後年、1986年はモモヨが新しいメンバーを加えて4曲入りのミニアルバムを発表するが、ワカは参加していなかった。翌年5月ラ・ママでスピアメンとの対バンで初めて観たリザードにもワカは参加していなかった。2002年の春に観たリザードはtypeΩといってスピアメンを従えたモモヨのソロユニット的な趣でやはりワカはいなかった。リザードIVが発表された当時、自分は何を聴いていただろう。とうとうワカがベースを弾くリザードをライブで観る事は叶わなかった。
最初に聴いたのは「彼岸の王国」で、1986年、高校2年の終わりだったか、同じクラスの岡ポンが貸してくれたものだった。あとでジャニスで1st(このアルバム)とジムノペディアを借りてカセット録音したのを何度も聴いた。ゴリゴリした質感の「ロックな」リズムを支えたのはワカだった。